内省

自己中

オタクくんとサングラス

関東に来て最近学んだこと、それは「私立中高一貫校出身者のいう”普通”は本当に信用ならない」ということだ。

田舎母子家庭出身の私の”普通”とはあまりにかけ離れている。

 

周囲との文化資本の差が大きいと感じたのは

会社>高校>大学>中学 の順である。

 

大学に入学したとき、大学に入れるような家庭の人がマジョリティで圧倒されたが(家賃や学費は親持ち、諸費をバイト代で賄うなど)、地方国立大らしく、同様の境遇、つまりひとり親家庭で学費免除取ってる人間もわりあい多かった。

人間は同じような家庭環境の者とつるみがちという言説を支持するなら、私が似たようなタイプとばかり過ごしてたという可能性もあるが。

 

高校は、なまじ進学校だっただけに地元の医者の子供や教師の子供が集結していた。昔は授業参観というと外車だらけだったが、最近はは軽も増えてきた、なんて話が出回っていたほどだ。肌感ではあるが、大学より高校の方が裕福な人の割合が多かったように思う。

青森という秘境から東京の私大に行く人が一定数いるという点で、地方国立大進学者より富んでいるのは当たり前かもしれない。

 

中学は、団地が多い地区だったこともあり、むしろ一軒家住まいの私は恵まれていたのではないかと思うほどだ。

当時、ひとり親家庭の人だけが貰う封筒(給食費免除のお知らせの手紙が入っている)を受け取っている人を数えたら9人だった。42人クラスがだったので約4分の1はひとり親家庭である。両親揃っているが離婚間近、なんて人もクラスに1〜2人はいた。

父親死別なので福祉は受けやすく、家庭環境は悪くない、ローンが免除になった一軒家がある、ということでむしろ恵まれてると思っていたし、自分の家が貧しいと感じることはあまりなかった。事実、支援にアクセスしにくいひとり親家庭に比べてれば格段に良い環境であることに間違いはないだろう。

 

※普通の生活をする分には問題ないが、大学進学というまとまった金を用意できない/一般家庭は用意できるという差を高校で体感した時が1番”貧”を実感した。

 

社会人になってからの話。

入社したのは俗に言う本屋、斜陽まっただなかの中小企業であり、年収もそれなり。とはいえ、地元のスーパーや介護施設で働いている友人の前では、とても「低収入」なんて言えない程度の給与ではある。また、本好きが集まるだけあってインテリクソ人間もぽつぽつとおり、(営業は毎日辞めたいが)文化!って感じの話を聞ける環境は気に入っている。

それはそれとして、新入社員顔合わせの時には私大出身者の多さに目をむいた。

そんな環境にたどり着いた自分は頑張ったな、という気持ちと、気後れ・焦燥・妬み嫉みがないまぜになった状態で吐きそうになりながら懇親会に参加したことを覚えている。社内もさることながら、同行営業する周辺企業の方々も私立中高、私立大出身の割合が多く、現在進行形で東京という土地に慄き続けている。

 

そして本題(?)、洒落っ気のない、性格は陰寄り、萌えコンテンツを好む一般オタクくんが当然のようにサングラスを着用していて驚いたことが2回ある。

それぞれ別の男性で、2人とも東京生まれ、私立中高一貫校出身者で、どちらかというとブルアカやホロライブが好きそうな善良なオタクくんだ。

光に弱く、目を守るための着用とのこと。

 

身体的快適さのためとは言え、サングラスというハイカラで許されたおしゃれ人のみ着用の許されるアクセサリーをオタクがてらいもなく着用するという事実が衝撃だったのだ。

重要なのはカッコつけたい、華美さを演出するという意図なく、あくまでも生活の延長線上にサングラスというアイテムが当然の選択肢としてあることだ。これが文化資本か、と強く感じた。

 

それと同時に、文字として書き起こすことで、えっ私の自意識デカすぎ…?になってしまった。サングラスといういちアイテムにビビりすぎ、人の目を気にしすぎているなとは思うが、田舎生まれだとこんなものでは?と正当化したい気持ちもある。2人のオタクくんはどちらも親の影響で全然香水とかつけてるんですよね。

 

最低限の生活プラスアルファ的なアイテムが日常にあることに富を感じる。親世代が文化的なものを現役で楽しんでいることに富を感じる。富の余裕が選択肢を増やし、選択肢があることの安堵が心の余裕を生み、心の余裕が他人の目を気にしない精神につながる、というのは安直すぎるだろうか。

 

結論:オタクはサングラスなんかかけるな!泣

 

 

【余談1】先輩の話

私はオタクなのでローゼンメイデンに影響されて紅茶を好きになった。今でも紅茶は好きで、社会人になってから、ちょっと良い紅茶の香水を購入した。

上に述べたオタクくんの1人は(休憩中にfgoのガチャを引くタイプの)会社の先輩なのだが、ある日、カバン用の芳香剤を買った、いいとこのやつなんですよと可愛らしい自慢をしてきた。私が紅茶の香水をつけ始めて割とすぐの出来事だったのだが、先輩が購入した芳香剤はなんと紅茶の香りだったのだ。彼は機微に鈍いタイプの人なので、私が紅茶の香水をつけている、ということには気づいていなかっただろう。

なんか最近紅茶の香りするな→紅茶の香りいいかも!になったと推察しているが、真偽のほ程は定かではない。

ミラールックならぬシミラースメルになるのは嫌だ!ということで泣く泣く香水の使用を控えた。本当にどうでもいい話です。

 

【余談2】後輩の話

先輩とは逆に、後輩は私なんかより何倍も苦労をして大学を出た人である。そして善良じゃない方のオタクである。

「自分育ち悪いんスよね」という捨て身の自虐ネタへの反応は何が正解かわからない。(反射で笑ってしまう。)

社会人になって給料もらって、これまでの分を取り返すかのように浪費しちゃうんですよね、という発言には全面同意だ。

正直、ボーナスなんてクレヨンしんちゃんのような景気が良い時代の遺物、フィクションだと思っていた。自分がボーナスもらった時は、世の中の正社員ってこんなにまとまった金が入るんだ、そりゃ貯金もできるし子供の学費も払える、という嫉妬で脳が焼き切れそうになった。

また、後輩もよく「文化資本」という語を使っており、文化資本の差を強く目の当たりにした人ほど、文化資本という言葉を使う、という持論が強化された。

そんな育ちへの反逆か、後輩自身はかなり文化的かつ有能な人間なので出世街道爆走して弊社をぶっ壊してほしい。

その前に弊社を去るだろうけど…。