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【ネタバレあり】ニューダンガンロンパV3感想

※この記事にはダンガンロンパシリーズの重大なネタバレが含まれています。ご注意ください。


ニューダンガンロンパV3 みんなのコロシアイ新学期の感想です。
最初にラストについて、そのあとに各章の感想を雑多に書いています。

 

↓好きキャラ

 



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V3を1週間くらいで爆走しました。過去作は、ダンガンロンパ1、2どちらも数年前にプレイ済み。
クロと被害者、オチはざっくり覚えている程度でトリックはほぼ忘れているという状態でしたがV3は問題なく楽しめました。
Steam版の操作性が終わってる点以外はとても良かったです。

賛否両論があるというのは納得のラストですが、私は好きでした。
Vtuberを好きな期間も長く、生身の人間がキャラクターをあてがわれること(もしくは自発的に演じること)についてぼんやり考えてたからこそ、キャラクターそのものになった人間(しかもデスゲームもののキャラ)の決断を見届けるられたのは良い体験だった。
ラストの受け取り方は視聴者にゆだねられているけど、私は本編で言及のあったとおりフィクションを植え付けられた生身の人間説を信じます。その展開の方が好みだから……。
あの世界の参加者はみんな「死亡同意書」に捺印してるのかな~とか思ってます。

2018年からはまっているコンテンツがVtuberとアイドルオーディション番組なんですが、どちらもリアルとフィクションの境界が曖昧なんですよね。フィクションでリアルが味付けされており、視聴者側からは境目が分からない。
視聴者が「う~んこれは素材の味!リアル!」と感じたところで、リアル風に加工した純フィクションかもしれない。
その中でVtuberはいい意味の「おままごと」で、視聴者とVtuberは同じ設定を楽しむ共犯者だと思っています。
(RPを放棄している場合でも「RPを放棄している」というおかしみや落胆が生まれる時点でもう設定が機能しているだろ派)
才囚学園の生徒と視聴者は設定を楽しむ共犯者になれない時点で、Vtuberと真逆の存在だと感じました。
視聴者はフィクションだと思っていて、出演者はリアルだと思っている。埋まることのない溝がある。
リアリティーショーの出演者は、エンタメとして消費されことに同意してはいるものの、それにも限度があるという点で少し最原側に近いかも。

フィクションの設定を纏った生身の人間と形容すると一見Vtuberっぽいけど、
当人が事実/設定を切り分けられない以上最原は最原以外になれないんだよな。
外野から「お前はフィクションなんだよ」と言われたところで当人にとってリアルならそれはリアルでしかない。
視聴者がVやリアリティーショーを見て勝手に”リアル”だと思うことが無意味なように、最原たちに”フィクションだ”と呼びかけることは全く無意味だなと思った。
春川→百田の好意が作られたものだと判明した時は「寄生虫の恋」を思い出した。作られた感情は本物となるのか。本物に決まってるだろ!
最後、最原の「僕は世界を否定する!」が良すぎてこのセリフでもうV3やってよかったと思いました。
世界は視聴者であり外野そのもので、リアルを生きている彼らは、エンタメとして消費される彼らは、外野の勝手な声を全て否定する権利がある。

エンタメがエンタメとして機能しなくなる例だと、Vsingerとして活動していたSALLA.Rさんの顛末を思い出す。
ブロンドのあどけない見た目で、柔らかい雰囲気の歌動画をあげていたのだが、いきなりプロデューサーの成人男性の動画が上がり始めたのだ。
しかも「ガンギマリ創造神」みたいなタイトルの。全てを放棄するとはこういうことかと思った。

コロシアイを放棄した最原とはちょっと違うけど、「や~めた!」という態度がエンタメを放棄するための最適解なのはそう。
試合放棄、学園爆発オチという「投げ展開」にちゃんと意味を持たせているところに感動した。ここまできたら「投げ展開」オチしかありえないもん。

傍から見て「たかが」と称されるようなフィクション(=嘘=偽物)であっても、
当人たちにとってリアルであれば、リアルな感情を呼び起こすものであれば、それはリアルなものだよね、というフィクション讃歌だと私は受け取りました。
ダンロン自体、私にとってはフィクションのゲームだけど、ダンロンをやって辛く楽しかった気持ちは本物だしね!

殺人を扱うフィクションはリアルの事件の原因にされたり、その反論として「フィクションとリアルは違う!」と言われたりしがちなのに、
フィクションとリアルは地続きで、素敵なものであると言い切るダンロンはすげ~と思ったりもしました。

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以下各章の感想

【プロローグ~1章】
妹のV3プレイを最初だけ見たことがあり、赤松が犯人というのは知っていました。
よく読むと、赤松のモノローグに犯行動作が含まれてるのすごいね。
3作目というマンネリが入ってくるところに「語り部が犯人」というインパクトを持ってくるのはしびれました。
天海が謎を抱え落ちしたまま死んだので絶対あとから出てくるだろ!と思う一方、
それを外して謎を謎で残したまま退場するパターンもあるかと予想してたから、謎が回収されて良かった。
江ノ島の時は死体ろくに調べなかったけど今回は死体調べちゃったし、確実に死んでるだろうという…。
江ノ島のことえのじゅんって言いたくなるんだけどこれ榎木淳弥のことえのじゅんと呼んでる友達のせいだ。

他人と協力した最原/単独でやるしかなかった天海という対比用のキャラかと思ったけど、協力/単独の対比は最原/王馬でもあるなと思った。

エピローグ見た後にまずしたこと→プロローグに出てきた通常制服のみんなを見る。


【2章】
敷地にラブホがあって爆笑しました。1周目は展開が気にになりすぎてカジノ無視してたのでそのうちラブホイベ回収したい。
ゴンタの(体格の)既視感が昼寝先生の竿役のものだということに気づく。
このあたりでイキリマゾ入間が好きになり、自由時間で追い回していたのですが、キャラ選択で最原側の戸惑いが見えるのがすごく良い。

 

ほぼこれ

 

あと転子がアンジーに秘密子寝取られててサムズアップしました。女女女。
転子に関してはミサンドリーキャラとビアンっけを結びつけるのちょっと危なくないかと思ったけどまあ……。
2章はめちゃめちゃ百田が怪しいと思ってて、探偵は死を呼ぶ的な、最原と近しい人物から退場していくという展開を考えたのですが全然違いました。
しかも裁判進んでも東条が犯人だと全ッ然気づけずにゲームオーバーになりました。なんもわからん。

2章の裁判で一番好きなセリフは王馬の「信頼に逃げるな、疑う責任を放棄するな」 です。
ライアーゲームという大好きな作品の中で、秋山(嘘つき)が直(正直者)に言った「無条件で相手を信じるのは何も見てないのと同じだ」という言葉を思い出します。
ライアーゲームは原作とドラマで直のスタンスが少し違って、ドラマは「嘘をつかないこと」を突き通すのですが、原作だと秋山に感化されて、嘘の効能を認めつつ、正直さは保ちつつしたたかさも身につけているんですよね。
偽証をうまく使う最原はに原作の直っぽさを感じました。偽証システム(嘘を武器にする)自体ライアーゲーム感がある。

あと是清の「夢を与える人間は徹底的に嘘つきでないと」という言葉も好きでした。
秘密子はそのセリフを体現した存在だけど、ラスト見てからだと王馬にもかかってくるセリフだなと思う。
才囚学園自体がフィクション(=嘘)だったわけだけど、全て作られた嘘だからこそ視聴者に面白さを与えてしまっているという皮肉もあるかもしれない。


【3章】
ホラーゲー苦手だから4Fマップ本当に怖かった。ジャンプスケア要素なくてよかった。
ロマン砲ゲットしたから入間の水着見たかったのに入間が女子から距離置かれているせいで見られなくて悲しいです。
アンジーの暴走を止めるため春川がクロになってアンジーを殺害する線はありそう~と思ったけどなかった。

入間については、最原「入間さん、一体どういう育ち方をしたんだろう…?」というテキストが良すぎた。無事パンツ貰いました。
その後王馬の好感度上げに入ったところ、2章の事件現場に王馬がいて適当だけど誠実な男か?と思った。
王馬のパンツも無事もらえたけど、スキルセットが「やさしい嘘」なのに喰らってしまった。
調査パートで王馬も退場かと焦ったけど、怪我で済んでよかった。弱っている王馬かわいいので常に弱っててほしい。

裁判では是清が怪しすぎてミスリードだとずっと思ってた。
是清の転子殺害判明した後、つむぎが巻こうとしてるのが怪しくてつむぎを疑ってたのに結局是清というオチ。
1,2章わりと説教寄りだったのに急にエゴ全開の殺人きてびっくり。
是清による是清のための殺人かつ、是清が姉のため(姉は望んでいない)って信じ込んでるの、二重でエゴな殺人でした。
3章は絶対天海蘇らせて、なんの才能か判明させてって展開だと思ったのに予想はずれた~。

大切な友達を失った秘密子に、赤松を失った最原が寄り添うのがよかったです。


【4章】
一番最初にパンツをもらったのが入間、二番目が王馬、次にゴン太の好感度を上げていた俺氏、死亡。
王馬と入間の協調性終わり組、いつまでも好き勝手していて欲しいと思っていたのに……。
と言いつつ見せ場あったからいうほどショックでもなかったけど。

百田最原春川の筋トレ組のスチルが充実していて嬉しい。ただ、心温まる交流を見せつけられるといつかの終わりを想像して胸が痛くなっていた。
春川の(百田に対して)「あんたって犬?」というセリフには素直にモモマキ萌え萌え豚に……。

プレイ当時は下記の感想をふせったーにあげてた。方向性は違うけど、今見返すと意外と合ってるかも。
コロシアイに参加する超高校級の何かになりたかった彼彼女らではあったし。
『こいつらみんななりたかったifの自分の可能性ある?
ほんとはハルマキは孤児院に残ったせいでひどい目に遭ってて、力を得るために暗殺者のifを選び取ったとか…
ハルマキ、超高校級の保育士は孤児院に残った場合のifだったのかもな
いやでもみんな死にたがってそれはないか』

入間死んだとき「デスアクメ?!?!?」って思ったけど違いました。入間ってデスアクメ似合う。
入間雑魚メンタルだしこれまでに無い自殺の可能性もある、王馬が自殺幇助はあると思ったけどこれも予想外れました。

ここで王馬が最原を救世主に仕立てようとしているの怪しかったけどなんのためのムーブだったんだろう。
王馬が最原(というかゴン太キーボ秘密子あたりのポンコツ組以外?)を疑ってたと思うと主催っぽい言動をあぶりだそうとしてたのだろうか…。
裁判中はゴン太を信じるために疑い続けるの辛くなりつつしもんぬの怒鳴り声ちょっと興奮していた。
「けだるき異世界を生かせ生きるだけ」というサブタイが回文になってて、ループするマップの仕掛けを示唆していたという話を聞いて脳汁出た。
「バカなゴン太でごめんなさい」が鬱セリフとして完成度高すぎる。辛いけど好き。

スキルセットのこともあり王馬の善性を信じ続けていたんですがちゃんと悪いやつだった、でも余計好きになった4章でした。


【5章】
5章のためだけにV3やった方がいいくらいすごい章だった。
被害者不明の事件の謎を解く、シンプルに面白い。捜査編のBGMもかっこよかった。

日常編では天海の教室早く入らせろと絶叫していました。
謎を解くゲームだからこそわからないことがわからないままになるという気持ち悪さを過剰に演出しようとしているかと疑ってたけど、エピローグで開示されて本当に良かった。
春川が最原と百田の仲取り持ってくれるシーンで、春川もも百田と最原に救われたから返したいと思ってくれているんだろうなと思ってブヒりは最高潮に。
思い出しライトを持った春川のやれるだけやろうというセリフ、かなりブルアカのアズサじゃんと思っていた。

「キーボが1番真っ直ぐに希望に向かってるの成長を感じる」というメモを残しているんだけど、ここまであからさまでもキーボが希望のもじりであることに一切気づきませんでした。

裁判始まってもずっと王馬を信じたかったし、最原以外のみんなで結託して王馬を殺してる可能性もあるかも知れないとか思ってました、すみません…。
1章のおかげで主人公サイドのテキストも信用しきれないのがお上手でした。
5章の裁判は好きなセリフが多いけど、特に王馬(ボイチェン百田)の「俺が死ぬわけないじゃァ〜ん!」の発声は何度も再生してしまった。やっぱ下野ってベテランなんだな。
「そのキャラクタ間だけでの特別な呼び名」にこだわりたいオタクとしては王馬にハルマキって呼ばれたときに春川が「あんたが…その名前で私を呼ぶな!」って返していた萌え萌えなんだよな。(なんだよなオタクくん)
「ウチは王馬なんか嫌いじゃ!」「俺は好きだけどね」については、私からは何も……。

そしてあくまでこのゲームの装置だったモノクマを参加者に引き摺り下ろす展開に大興奮。
ここで春川が百田が生きてる可能性に賭けること、それを最原と証明しようとしてるの泣いた。
これまで犯人を追い詰めるためのトドメとして機能してきた理論武装が、春川が犯人じゃないという証明として機能しているのでも泣きました。

クライマックス推理の王馬の上裸でブヒってもいいだろ!やっぱ王馬の顔好きだし卯月コウの顔も好きなんですケド……。
そして最後の最後、百田のために、偽証使うのやばすぎて、ここまで普通に話を進めるフックとして偽証使ってきたからこそ、なんか、こう、すごい……。
最原の「僕は間違えてなんかいない」というセリフは、犯人を間違えていないということではなくて、
百田の意思を汲んで何をすべきか、選択を間違えてなんかいないってことなんだよね。
百田のお仕置き、ダンロンの一番最初のやつの逆というのもな、お仕置きの前に死ねてよかった。

あと王馬の「オレって、つまらなくなかったろ?」というセリフで胸が苦しくなった。ここでもエンタメにはこだわるのか。
「人にやらされるゲームが楽しいわけない、全部…ムカつく…!」というセリフも嘘じゃないと思いたい。

ここまでの素朴な疑問なんですが、是清以外はモノクマや外の世界という舞台装置や大義でコロシアイしてたわけだけど、是清はこれでいいの?


【~エピローグ】
天海、声が緑川なのと話し方がフランクなせいでめっちゃ伏見ガクだなと思った。

探索パートで王馬の個室に入れたけど、コロシアイを切り抜けようと必死なのがわかる個室で本当に苦しかった。
一人でそんな背負っていたんだ…。その小さな体躯に………。

エピローグで1章の謎を一気に回収しに来る展開、好きです。
最初の事件、語り手が犯人というデカい仕掛けで視聴者をびっくりさせ、これが仕掛けかーと思わせつつ、
二重に謎仕掛けている全く気づきませんでした。

そして才囚学園のコロシアイ自体が生身の人間を使ったリアリティーショーに近いもので、
それぞれの人も記憶と才能を植え付けられたフィクションの存在と、しかも本人が志望したと。
世界5分前仮説みたいな感じってこと?とプレイ時は混乱しました。
過去作はフィクションで~すみたいな態度だから否定する人が多いのもうなずけるけど私は好きです。
最終的に、6章冒頭の視聴者を介しないキーボの学園全破壊が正しい決断だったことにちょっと笑いました。

Vtuberと才囚学園の生徒の対比、フィクションとリアルについては冒頭の通り。

最原は、百田から目の前の事実に立ち向かう原動力をもらって、ゲームを不成立にするという手法を王馬からもらったと思うと百田と王馬の対比っぽくてよくないですか?!

V3で希望も未来も否定してなお、コロシアイをもう起こさせないという意味で未来へのバトンを繋いだこと、美しいと思います。
スパイクチュンソフトからの「もう続編作んねーからな!」という思い、しかと受け取りました。

 

【王馬について】
王馬小吉というクソガキにだいぶ持っていかれました。人気一位になるのも納得。
そもそも「嘘」、なんなら「嘘の肯定」がテーマの作品だし、それを象徴する王馬が人気なのも道理ではある。
「笑える犯罪」というエンタメ極振りキャラクターの彼が、「コロシアイは嫌だ」というリアルな自分の感情のためにエンタメぶっ壊そうとしているのがよかった。
エピローグで彼の部屋を見ると、本気でコロシアイに抗っていたことがわかって苦しい。
そんな王馬がゲームに勝つためなら自分の命を差し出すという決断ができるのが余計…。
そもそも「笑える」が枕詞として付くということは、だれも悲しんだり苦しんだりしていないことが前提だから、苦しみや悲しみをエンタメにする「コロシアイ」に嫌悪感を抱くのは当然ともいえるかもしれない。
それでも「コロシアイ」を否定するために手を汚してなりふり構ってないのがさらに魅力的でした。
(こたけ正義感がネタにしてるよくわからん法律を破る犯罪とかやってるのかな~と思うとかわいい)
王馬は5章以降で怒涛の好感度巻き返しあったけどそれ以前の悪行(ゴン太殺人幇助)にキレてる人いそう。
でもそんな倫理観の人はそもそもダンロンやらないか…。

百王って秋直なんだよな、っていうメモが残ってるんだけどまっすぐな百田と嘘を使ってでものし上がる王馬だからけっこうそうじゃんと思ってます。
少年漫画だったら百田が主人公、最原が人気の出る脇役っぽい。

あと最後に残った最原、春川、秘密子は日常編でも嘘をついていたなと思いました。
記憶がないとか、情報を隠すのではなく、事実と異なる情報をはっきり伝えていたという意味で。
エンターテイメントのために嘘をつくという点では秘密子と王馬は近いのかもしれない。


【最後に】
入間の好きポイント
・是清の姉友判定から除外される
・4章の裁判で「コロシアイが関係なかったら入間といい友達に……なれないな」と言われている
・才能だけ見たら超有能なとこ
・傍若無人とマゾの両方の性質を併せ持つ
・好感度高めると「仲良くなってしまった……」と最原側が嫌がってるテキストが出てくるところ
・入間とお出かけしたら家族連れが近くにいてもクソデカい声で下ネタ言ってそうで嫌

入間、入間のまま外に出たらセクハラパワハラ祭りなのでここで死んで良かったのかもしれない。なまじ有能なのがタチ悪いし。

 

じゃ、俺はレインコードプレイしてくるから……。